世銀次期総裁候補にイヴァンカ氏とヘイリー元国連大使 英紙報道

ドナルド・トランプ大統領の長女で大統領補佐官のイヴァンカ・トランプ氏、米首都ワシントンで(2018年12月6日撮影)。(c)Jim WATSON / AFP〔AFPBB News

(古森義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 世界銀行の次期総裁に米国のトランプ大統領の長女イヴァンカ氏が指名されるという情報が日本の各メディアで一斉に流された。同時に、「トランプ政権のファミリービジネス化」といった批判も報じられた。

 だが、この人事は実現しなかった。結果として「イヴァンカ世銀総裁就任」はまたもやフェイクニュース(偽ニュース)だったわけだ。このフェイクニュースの広がりの構造をみると、お馴染みのパターンが浮かび上がる。

「イヴァンカが世銀総裁に」はフェイクニュース

 ニュースの発端は、世界銀行の現総裁ジム・ヨン・キム氏が任期を残して辞任するという報道だった。韓国系米人のキム総裁はオバマ前政権に任命され、世銀総裁となった。世銀総裁はあくまで世銀自体が決めるのが建前だが、実際には最大出資国の米国政府が米国人を任命することが慣習となっていた。

 キム総裁が2期目の任期を3年半も残したまま2月1日付で辞任するという動きは1月7日に発表され、日本の各新聞でも報じられた。そして1月12日前後、日本の主要新聞各紙がキム氏の後任にイヴァンカ大統領補佐官が就任する見通しだというニュースを掲載した。

 ところが2月6日、ホワイトハウスが、トランプ政権の財務次官を務めてきたデービッド・マルパス氏を世銀の次期総裁に任命すると正式に発表した。つまり、「イヴァンカが世銀総裁に」はフェイクニュースだったのである。