同盟国は、今回のトランプ大統領の決定に戸惑っている。この決定は従来の米国の政策に反している。この決定は、米議会にも国防省にも同盟国にも知らされることがなかった。

 トランプ大統領は、「我々はISに勝利した」と簡単に表明したが、英国とフランスは決定が報じられた当日の木曜日に、シリアでのイスラム過激派との戦いはまだ終わっていないと警告している。

 シリアでは戦闘はほぼ終結しISの占領地域もほとんどなくなっているが、2011年以来36万人以上が殺害され100万人以上が住み家を追われた戦争の、終結に向けた政治的解決はまだ見通せない。

 アフガニスタンについても、米国の代表がアブダビでタリバン側と新たな会合を持った矢先に、トランプ大統領による今回の決定がなされた。

 しかし、カブールで政権側の交渉担当者との会同が拒否された後、トランプ大統領は、タリバン側の誠意に対し疑念を表明している。

大局的に見れば大統領の決定は間違っていない

 以上がAFPの分析の概要である。

 シリア、アフガニスタンからの撤兵という、マティス長官辞任の直接的引き金となった今回の決定については、同様の否定的評価が多い。

 しかし、もともとアフガ二スタン戦争は、2001年の9.11同時多発テロに対する「個別的または集団的な固有の自衛の権利の行使」として開始された。

 9.11テロの直後、ジョージ・W・ブッシュ大統領が、アフガニスタンに隠れていたオサマ・ビン・ラディンの引き渡しを要求したが、タリバンが引き渡し要求を拒否したため、同年10月7日に英国とともに米国が開始した戦争である。

 2003年には、サダム・フセインイラク大統領が、湾岸戦争の停戦条約に違反して、クウェート人捕虜を返還せず、また大量破壊兵器を保有しているとの理由で、米国はイラク戦争を始めた。

 イラク戦争はその後ISの台頭に伴い、さらにシリアにまで拡大した。米国が今も中東からアフリカにかけて戦っているテロとの戦いは、2001年以来17年間続き、米国の歴史上最長の戦争になった。

 その間に約7000人以上の戦死者と5万人以上の負傷者を出し、戦費は4兆ドルを超え、関連経費を入れると6兆ドル以上を要したとも見積もられている。