軍事情報戦略研究所朝鮮半島分析チーム

米韓、合同軍事演習の規模縮小へ 北との核協議に配慮

韓国・抱川で行われた米韓合同実弾演習に参加する米韓の兵士ら(2017年4月26日撮影、資料写真)。(c)JUNG Yeon-Je / AFP〔AFPBB News

 朝鮮半島情勢が今、大きな曲がり角に来ており、将来がどうなるのか、見通すことが難しくなってきている。

 なぜなら、その脅威が、一瞬にして大きな振れ幅で変化する可能性があるからだ。

 歴史的な米朝首脳会談の共同声明で、米国のドナルド・トランプ大統領が北朝鮮に体制の保証を与えること、金正恩委員長が朝鮮半島を完全に非核化することを約束した。

 会談終了直後、米韓合同演習の中止、北朝鮮西海ミサイル発射場における解体作業開始、遺骨返還などの前向きな動きがあった。

 米朝会談の動きに前後して、北朝鮮は、中国に擦り寄り中朝会談を行った。また、韓国の文在寅大統領を抱き込んだ板門店と平壌での南北首脳会談など、矢継ぎ早に、次の手を打ってきている。

 会談の成否については評価が分かれるが、いずれにせよ、あくまでもスタートラインについただけであるとの認識が必要だ。

 北朝鮮が米国本土にまで届く可能性がある核ミサイルを保有している事実に変わりはない。

 現時点でどのようなシナリオが考えられるのか、どの可能性が一番高いのかを予想することは、かなり難しい。

 また、情勢が一気に変わる可能性は常に存在する。本論では、その大きな振れ幅を以下の3つのシナリオに類型化し、その蓋然性について述べる。

シナリオ1 北朝鮮が核を保有したまま南北分断が継続する
シナリオ2 北朝鮮主導で南北が統一される
シナリオ3 韓国主導で南北が統一される

韓国と北朝鮮、非武装地帯の監視所撤去開始

南北朝鮮間に設定された非武装地帯(DMZ)で、監視所の撤収作業で門に鍵を掛ける韓国軍兵士ら。韓国国防省提供(資料写真、2018年11月9日撮影、公開)。(c)AFP PHOTO / South Korean Defence Ministry 〔AFPBB News