地上の岩石も他の隕石もCコンドライトほど歴史を遡ることができない。また、生命が有機物であるのに対し、基本的には無機物である。Cコンドライトは地球や宇宙の石の中で別格なのである。

 その他隕石とCコンドライトの面白さはレベルが全く違う。普通コンドライトであるイトカワより、Cコンドライトであるリュウグウの方がはるかに面白いのだ。

はやぶさ2が持ち帰るのは最良のサンプル

 太陽系の誕生や、地球の生命誕生に関する情報が秘められているかもしれないC型小惑星・Cコンドライト。

 科学的面白さが別格だとしても、隕石として地球上に落ちてきているのだから、隕石を研究すればよいのではと考えられる方もいるだろう。

 しかし、隕石として地球にもたらされるCコンドライトの研究には限界がある。

 まず、Cコンドライトはレアである。世界で数十例しか知られていない。隕石は上空でバラバラになって降ってくることも多く、何個も落ちてくる場合が多いので、サンプルが数十個という意味ではない。

 しかし、隕石の9割を占める普通コンドライトに比べれば圧倒的に少ない。

 もっと重要なのは、Cコンドライトの価値は、熱変性が少なく初期の状態を保ち、有機物のように強い熱変性を受けると分解してしまうものを含んでいることである。

 地球に落下する場合、大気圏突入により岩石の表面が溶けるほどの熱を受けるし、地球の大気にもさらされる。