ルノー傘下に入った日産にとって、ゴーンは進駐軍最高司令官の「マッカーサー」。そのゴーンが会社の金に手をつけて捕まったというのだから、全く笑えない。ここまでネットで流れていた情報を集約するとこうなる。
ゴーン会長は自らの報酬を過少申告した疑いがあるとして、東京地検特捜部に逮捕された。日産自動車も同11月19日、「カルロス・ゴーンについては、当社の資金を私的に支出するなどの複数の重大な不正行為が認められ、グレッグ・ケリーがそれらに深く関与していることも判明しております」というリリースを流している。地検の勇み足ではなさそうだ。
地検の発表によると、ゴーンは2011年3月期から15年3月期までの報酬が実際には約99億9800万円だったのに、有価証券報告書に約49億8700万円と記載した虚偽記載の疑いがあるという。ゴーンはこの日の夕方、羽田空港に到着し、その場で地検に身柄を拘束されたとみられる。
長年にわたる統治で現れた負の側面
記者会見が始まったのは22時。西川廣人社長が一人で会見場に入ってきた。発生した事案はとんでもないが、押しかけた報道陣を一人で受け止めようという姿勢はなかなか潔い。
「カルロス・ゴーン、(代表取締役の)グレッグ・ケリーの2名につき、内部告発を受けた社内調査の結果、3点の不正行為が確認されました。
① 報酬金額を有価証券報告書に過小に記載していた
② 目的を偽って私的に会社の投資資金を使っていた
③ 目的を偽って経費を不正使用していた
これらの事案について専門家にも意見を求めたところ『十分解任に値する不正行為である』と認定されたため、明後日、木曜日に緊急の取締役会を開き、代表権を剥奪、会長の任を解くつもりです」
「2人はすでに逮捕されていると認識しており、捜査との関係で現時点で私からお話しできることは限られることをご承知おきください」
まあそれはそうだろう。
それにしても、お金なら十分にあったはずのゴーンがなぜ、会社の金に手をつけるような真似をしたのだろう。2017年3月期のゴーンの年俸は7億3000万円。CEOから会長に引いたこともあり前年度より30%以上減っているが、それまでは3年連続で年俸10億円を超えている。