こうしてヒッコリーゴルフの魅力にハマってしまった私ですが、4月27日にヒッコリーゴルフの「日本オープン」が開催されること、そして申し込めば自分もそこに参加できることを知りました。

 もちろん、すぐに出場の手続きを取りました。モダンゴルフの日本オープンに参加するのは私の実力では無理な話ですが、ヒッコリーではそれが出来てしまうのです。しかも会場となるコースは、日本最古のゴルフ場・神戸ゴルフ倶楽部です。ヒッコリーゴルフにこれほどふさわしいコースはありません。結果はグロスで2位。日本オープンで2位です。こんな経験は、ヒッコリーゴルフだからできたものでした。 

エイプリルフールのジョークが現実に

 実はこれに先立つ4月1日、そうエイプリルフールの日に、私はフェイスブックで「今年の全英ヒッコリーオープンに出場することになった」と書き込んでいました。もちろん完全なジョークです。

 ところがその後、10月にスコットランドで「世界ヒッコリーゴルフオープン」が開催されていることを知りました。しかも手続きさえすれば自分も参加できると知ったのです。まさに瓢箪から駒、嘘から出た実(まこと)、です。こうして、ヒッコリーゴルフを初めてわずか8か月で、私は世界オープンに参加することになったのです。

 私が参加したのは3人制の団体戦。チームメイトは、私がヒッコリーの世界に引き込んだ大阪在住の若松さんと、「The Hickory Golf Shop」オーナーのアレックス氏の紹介で知り合った名古屋の福本さんです。福本さんは、スコットランドに向けて飛び立つ成田空港で初めてお会いしましたが、すぐに打ち解けることが出来ました。

 さて実際の大会の様子ですが、勝負の山場はいくつもありました。3選手が、それぞれ勝負どころのショットやパターを決め、ノーボギーで毎ホールポイントを稼ぎ続けたことが好成績につながりました。

 チーム戦では、自分がミスショットするとすぐにパートナーに頼ってしまいたくなるのですが、その点、今回のチームメンバーは「ごめん!頼んだ!」がなかったように思います。3人共、他の誰かにプレッシャーがかからないよう、自分が1打でも少なく上がることに集中していました。だからお互いの会話も「今のショットは良かった」「さっきのホール、よく決めたよね」「1番ホールのパーは凄いよ」という具合に、お互いに励まし合うような内容だったように記憶しています。

  ただし勝負の行方は最後の最後までもつれました。終わってみれば、2位と1打差の優勝です。1つでも落としていたら優勝はありませんでした。17番、18番での神がかり的なパッティングがあったからこその勝利でした。

 それにしても、つい8か月前までは全く触れたこともなかったヒッコリーゴルフで、世界一になってしまったのですから、人生、何が起こるかわからないものです。

 今回われわれのチームは運よく優勝することが出来ましたが、ヒッコリーの魅力はゲームの内容だけではありません。道具からウェアまで100年近く前のスタイルで統一し、クラシカルな雰囲気の中でするゴルフは、これまで体験してきたモダンゴルフとはまったく違う世界観を体験させてくれます。ヒッコリーゴルフ時代の名ゴルファー、ボビー・ジョーンズの世界にタイムスリップしたような感覚です。大会に参加する人、みんながそういう気持ちを持っていますから、プレー後のクラブハウスでは互いのフェアプレーを称え合う空気に満ち溢れていて、非常に居心地がいいのです。

 また、意外にもモダンゴルフの技術はヒッコリーのクラブでも十分通用します。飛距離が落ちたり、スイートスポットが小さかったりと、最初は戸惑うこともあると思いますが、逆に言えば、道具の優劣ではなく、技術の優劣で勝負が決まる競技なのです。私がヒッコリーゴルフに出会うきっかけとなった「The Hickory Golf Shop(https://hickorygolf.jp)」では、ヒッコリーのクラブセットをレンタルして参加できるイベントも定期的に開催されていますので、興味を持たれた方にはぜひ一度試していただきたいと思います。きっと、これまで知らなかったゴルフの魅力を感じられるはずです。