ここ福岡は少しずつ暖かくなってきています。春の気配を感じる日がだんだんと増えてきました。2月6日の名古屋市長選挙と愛知県知事選挙では、前市長の河村たかし氏が大勝しました。この動きは、日本の政治の膠着状況を打破する春の訪れなのでしょうか? どこまで波及していくのか、次の名古屋市議選挙や大阪市議選挙が楽しみです。

 さて、愛知県知事選では、河村市長が支持し、当選した大村秀章氏が、愛知県と名古屋市を再編する「中京都」構想を提案し、話題になりました。河村市長もこの構想に賛同しています。きっかけとなったのは、橋下徹大阪府知事の「大阪都」構想でした。

 イメージとして「府」が「都」になると格上げという感じがしますが、では、「都」は「府」や「県」と比べて、行政組織としてどのような違いがあるのでしょうか?

23区という「特別区」がある東京都

 時代を遡ってみると、1869年に行われた版籍奉還のあと、明治政府は東京、京都、大阪に府を置き、それ以外は県とすることに定めました。その後、1886年に北海道庁を置き、1943年に戦時法制の1つとして、東京府を東京都に名称変更しました。「帝都東京」とするためです。

 敗戦後に地方自治法が制定されましたが、各都道府県の名称はそのまま引き継がれ、現在の「都道府県」になっています。

 このような経緯を見ると、「都」が「府」や「県」よりも大きな権限を持っているような印象を受けます。

 しかし、都と府と県は、国との関係で見た時に、行政機関として権限の違いがあるかというと、違いはありません(個別の法律に基づく権限は別です)。東京都だけが、他の府県に比べて国から多くの権限移譲を受けているということではないのです。

 一方、市町村との関係で言えば、都とそれ以外の府県を比べると、大きな違いがあります。都には23区という「特別区」があるのです。

 特別区は市町村とほとんど同じ権限を持ちますが、いくつかの権限を東京都が持っています。固定資産税の課税や徴収、消防、水道、下水道などは東京都庁が行っているのです。東京23区のような人口密集地であれば、水道や下水道、消防などは東京都がまとめて行った方が、確かにずっと効率的だと思います。