贈り物の形は、時代とともに変わっていく?

 私の在籍している博報堂生活総合研究所は、1981年の設立から現在に至るまで、「生活者発想」に基づいて生活者の行動や意識、価値観とその変化を見つめ、さまざまな研究活動を行っています。

 前回に引き続き、世の中で生じている事象に対して、研究所に蓄積された研究成果やそれらに基づく独自の視点により考察を加えてまいります。読者の皆様にとって、発想や視野を広げるひとつのきっかけ・刺激となれば幸いです。

平成を通じて大きく減少した「お歳暮」贈答

 早いもので、今年も残すところあと2カ月足らず。秋が深まり一年の終わりを感じさせる時期に入ると、「そろそろお歳暮の準備を」と考え始める方もいらっしゃるでしょう。

 お世話になった相手への感謝と、来年もどうぞよろしくという気持ちをこめて贈答するこの慣習。「誰に、どれくらいの金額のものを贈るのがよいのか・・・」とあれこれ考え始める方がいる一方で、贈ったり受け取ったりする経験がほとんどなく、お歳暮が身近な慣習ではなくなってきている人もいるようです。実際のところはどうなのでしょうか?

 以前のコラムでもご紹介しましたが、博報堂生活総合研究所には生活者のさまざまな意識や行動を長期間にわたり定点観測したデータベース「生活定点」があり、データを公開しています。

「生活定点」は1992年から2年おきに調査を行い、直近2018年まで26年間ぶんの情報が詰まった、ビッグデータならぬ“ロングデータ”。調査項目の範囲も、衣・食・住はもちろん、仕事や人間関係、趣味、価値観などなど・・・約1400項目におよぶ調査の結果を網羅しています。

「贈答」の意識・行動にまつわる質問ももちろん含まれており、「お歳暮は毎年欠かさず贈っている」という項目は1994年から聴取が行われています。

 どんな結果になっているのか、さっそくデータを見てみましょう。