当然、異物を巻き込んだ塗装がされてしまうし、塗装によりさらにデコボコが目立つことになる。
異物は錆びの原因になる上、デコボコも塗装をはがして修正することになるので、防錆機能を担う下塗りをはがしてしまうことになる。
こうして時間が経つと錆びる自動車がで出来上がる。
一つひとつの問題は単純である。決して難しくない。しかし、問題が絡み合っているうえ、複数部門や鉄鋼メーカーのようなサプライヤーまでが当事者であり、問題の関係者が多い。
これらの複数の場所にまたがる問題をすべて潰していかなければ、品質が上がらない状況になっている。
こっちの問題はあっちを解決しなければ解決せず、あっちの問題はそっちの問題を解決する必要がありという感じで、問題が芋づる式に繋がりどこまで行けば終わりになるのかわからない。
トヨタも半世紀以上前は、こんな感じだったとも聞く。トヨタの車が今の品質をしかも庶民が手の届く価格で実現したのは、半世紀以上に及ぶ、サプライヤーも含めた無数の人間の努力の積み重ねである。
関わるすべての人が正しい仕事をしたうえで、1人の人間では見切れない範囲ですべてが正しく組み合わさって自動車ができる。
仮に優秀だったとしても、1人や2人の人間が強いリーダーシップを発揮すれば実現できるという性質のものではない。これが自動車作りの難しさである。