普通の自動車を作るのは実は難しい
普通の量産車を普通の人が手に届く値段で作ることは、技術革新を感じさせるものでないかもしれない。
しかし、実際には設計・製造・購買その他で規模のメリットを出すための膨大な仕組みの構築が必要となる。そんなに簡単なことではない。
現在、トヨタ自動車と同じような品質で、同じような値段の自動車を作れる企業は、世界でどれだけあろうか。
トヨタが今の姿になるまで半世紀以上の年月を必要とした。テスラはそれを短期間で立ち上げようとしているのだ。
それでも、自動車の車体に最先端のイメージを感じられる方はいらっしゃらないのではないか。
モーターを積んだ自動車が市販されてから20年程度。一方で、そのはるか昔からガソリン車は作られてきた。当然、ガソリン車が作られてきたということは、自動車メーカーは自動車の車体を作り続けてきたことになる。
確かに、自動車の車体のようなものを1つ作れということであれば、必ずしも難しくはないだろう。しかし、一定以上の品質を維持して、低コストで、大量に作るということになれば、途端に難易度が上がる。
1台の自動車で部品点数は2万とも3万とも言われる。2万個、3万個の部品のすべてが合格水準に達してなければならない。
それを何万、何十万と繰り返すが、それらは全く同じにできていなければならない。さらに低コストで作るためにある程度のスピードで同じペースで途切れなく作る必要がある。
これを達成するためには、自動車工場の数千人単位・数万人単位の作業者だけでなく、サプライヤーも含め一つの有機体として機能する体制が必要である。