日本国防当局がアメリカからの輸入を決定していた地上配備型弾道ミサイル防衛システム「イージス・アショア」の本体価格が、防衛省が見積もっていた1セットあたり800億円から1340億円へと跳ね上がった。約1.7倍の増加である。
価格が跳ね上がるのは、秋田県と山口県に配備することになるであろうイージス・アショアに、最新のレーダーシステム「LMSSR」(Lockheed Martin Solid State Radar)を搭載するためである。さらに、それぞれのイージス・アショアを設置するための施設取得建造費や教育訓練費などを加えると、防衛省が手に入れようとしている2セットで5000億円ほどになるものと考えることができる。
540億円で飛躍的に広がる監視範囲
1セットにつき1340億円(ただしアメリカの武器輸出戦略の通例としてさらに値上げされる可能性が少なくないのだが)を支払い、高性能LMSSRを採用することで、確かにより広範囲を監視できるようになる。
たとえば日本政府が予定しているように山口県と秋田県の日本海沿岸地域にイージス・アショアを設置した場合、朝鮮半島全域だけでなく、ロシアの沿海州、中国の遼寧省東部、吉林省南東部、黒竜江省南部、などの監視が(理論上は)可能となる。そのため、北朝鮮の弾道ミサイルだけでなく中国の弾道ミサイルに対してもイージス・アショアで対抗することが可能となる。
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