「調剤薬局」とはどういうものか、ご存じだろうか。

 病気の治療に必要となる薬を、医師が記載したものが処方箋。その処方箋に書かれた薬を患者が受け取る(購入する)のが調剤薬局だ。処方箋を持参すれば、基本的にどの調剤薬局でもその薬が手に入る。

 ただし、どの調剤薬局でも支払額が同じかというとそうではない。さらに、購入方法によっても違いが出る。その違いは、金額としてあまり大きいものではないが、購入者のやり方次第で削減できる可能性がある。ムダな金額を支払わないようにするには、まず調剤薬局で受け取る調剤明細書をよく見ることだ。

 今回は調剤薬局(以下では調剤薬局のことだけを扱うので、単に「薬局」と略)での支払額のうち、購入者(患者)がコントロールできる部分について、現状の仕組みとともに解説しよう。

いくつもの項目がある調剤報酬

 はじめに、ごく基本的な仕組みと言葉の説明が必要だ。少しおつきあいいただきたい。

 公的医療保険(健康保険)を使った診察や治療の報酬金額は国によって決められている。薬局における調剤の報酬(調剤報酬)も同様だ。「調剤報酬」は、薬自体の価格(薬価)と、調剤を行うことに伴う報酬の2つに分かれる。このうち薬価はいつどこで買っても基本的に同じだ(「ジェネリック医薬品」を考慮すると「同じ」とは言い切れないが、それは別記事で解説する)。削減可能なのは、「調剤を行うことに伴う報酬」(こちらを調剤報酬と言うこともある)の方だ。

 これらの報酬は点数(1点が10円)で決められている。ただし、点数に10をかけた金額そのものを薬局店頭で払うわけではない。健康保険は、保険料を定期的に納めることで、病院や薬局でかかった費用の1割~3割(読者の多くは3割だと思われる)を負担すれば済む、という制度だ(3割の金額の1円の位は四捨五入して10円単位になる)。残りの9割~7割は、病院や薬局が審査支払機関を通じて保険者(健康保険組合や市町村など)に請求する(図1)。

図1 調剤薬局における健康保険の仕組み
(* 配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで本記事の図表をご覧いただけます。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53696