日本では、政治家の世襲は好ましくないとの批判が国民の間で強まり、一部の政党では選挙において2世の候補者を公認しない動きも出ている。
政治力が秀でているわけではないのに、親や親族から「地盤・看板・鞄」を引き継いで当選してしまう2世候補者がいる。これは日本の政治を劣化させる元凶だとして批判されている。
政治家の世襲問題は、何も日本に限ったことではない。社会主義の中国においても「2世」問題が浮上している。むしろ、日本以上に問題は深刻かもしれない。メディアがこの問題を広く取り上げていないだけである。
「2世」現象が格差を固定化する
中国社会は実力主義と言われてきたが、実際は実力よりも家柄の方がものを言うことが多い。
現在の指導部を見ると、大臣や知事クラス以上の幹部は「太子党」、すなわち、中国版「2世議員」が大きなウェイトを占めている。毛沢東と鄧小平は権力を親族に継承させなかったが、近年、指導部内で権力の世襲は増える傾向にある。
それだけではなく、社会の様々な分野で「二代」(2世)現象が表れている。
まず、親が政治家や公務員の場合、親に便宜を図ってもらって政治家、公務員になるケースが増えている。これは「官二代」と呼ばれている。
また、石油会社や電力会社など独占的な国有企業の経営者は、その権限を利用して自分の子供を入社させることが多くなっている。これは「壟二代」(独占2世)と呼ばれている。
さらに、民営企業の経営者の子供は「富二代」と呼ばれている。富二代は、何の苦労も経験せず、いきなり社長の座に座る。従来から中国社会では、他人を信用しない。信用するのは親族だけである。したがって民営企業の場合、家族経営の企業が圧倒的に多い。