「みやじ豚」の認知度を向上させたバーベキューパーティー(写真提供:みやじ豚、以下同)

 現代の日本には、社会が抱える課題の克服に使命感を持ち、その実現のためにイノベーティブな取組みを行う人々がいる。ソーシャルアントレプレナーと称すべき人々である。

 10年余にわたって「1次産業を、かっこよくて感動があって稼げる3K産業にする」活動に邁進してきたみやじ豚・代表取締役の宮治勇輔氏(39)は、さしずめその代表格の1人であろう。様々なメディアに取り上げられ広く知られる宮治氏であるが、後編では、日本の1次産業において重要なテーマとなっている事業承継・地方創生に対する宮治氏の視点を紹介したい。

◎(前編)「日本の1次産業を守るバーベキュー」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52962
◎(中編)「農業は変えられる! 起業家志望から家業の道に」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53060

事業承継は「相続」ではない

 バーベキューマーケティングを通じて「みやじ豚」の認知度向上に成功した宮治氏は、NPO法人「農家のこせがれネットワーク」を主宰しつつ、日本の1次産業界の若きリーダーの1人として、47都道府県で講演・各種イベントに奔走した。そしてその中で、日本の農業界最大の課題は“事業承継”であることを思い知る。

 そこで、ファミリービジネス・事業承継をテーマに、2015年、「農家のファミリービジネス研究会」を立上げ、このテーマに対する知見を深めていった。そしてそれをベースに、事業承継に対する正しい考え方を広めるべく、JA全農と共に『事業承継ブック』を制作し、全国のJAに1万3000部頒布したという。

「農家のファミリービジネス研究会」のセミナーの様子