マクロの側から考える:人間の視点から
私たちが耳で聞くことができるのは、20~20kHz程度の空気の振動だけで、それ以外の空気の振動は音としては感知できません。
低い周波数は「風」として、また高い周波数、超音波はメガネの曇りのもととなる汚れを取ったり、半導体表面を清浄にする洗浄に役立ったりします。
こうした低い周波数の電気信号はAF(audio frequency)と呼ばれます。
ラジオやテレビではこれを、先ほど触れたような高い周波数=短い波長で進む「搬送波」に信号として「乗せて」遠隔地に飛ばし、受信側で検波して、再びオーディオ機器などにつなげ、そこで電力を補って(=増幅、アンプを噛ませることで)、再び音として聴くことができるようになります。
音波程度の周波数は「人間的」と言うことができるかもしれません。私たちの家庭に送られてくる電力は、50Hzとか60Hzという、とても「ゆっくりした」周波数で送信されてきます。
ゆっくりと言いますが、扇風機の「強」が秒速20回転=20Hzですから、1秒間に50とか60回転というのは人間にとっては十分に速い。
事実、私たちは1秒に50回とか60回、明滅を繰り返す蛍光灯の明かりを、連続した光としか認識できません。速すぎて視覚が追随できていないのです。1秒に60回転するプロペラに手を巻き込まれたら、大変な事故になってしまうでしょう。
このように考えるなら、100kHzとかMHz領域の電磁波は十分にウルトラな「高い周波数」ですから「高周波」の呼び名は納得がいきます。
電波であれば「短波」ですが、この高周波で交流の電流を流すと、人間の観点からはべらぼうな速さで電流が右往左往するわけですから、人間の手などに当たると火傷、下手すると黒焦げになってしまいます。
これだって、電気的なシステムですから、適切に制御すれば役に立てることができる。「電気メス」と言われる医療機器は、これを応用しているわけです。さっきの「レーザーメス」との違いに気をつけてください。