日本の教育制度の抱える構造的問題として認識されながら、現在も解決のめどが立っていない「原罪」のような症候群について、数回に分けて考えてみたいと思います。
初回は、我が国の未来を支えるであろう先端テクノロジーやサイエンスのフロンティアを開拓する、イノベーティブな人材が、どうして日本から出てきにくい構造になっているか、を考えてみます。
これは昔からよく言う、大学教養課程におけるジンクスのようなものですが
高等学校で数学が得意だった人は 物理に向いており
高等学校で物理が得意だった人は 化学に向いており
高等学校で化学が得意だった人は 生物に向いている
なんて表現を取ることがあります。
「高校で生物が得意だった人はどうなるの?」とか 「数学に向いてる人はどうなの?」と突っ込みが入りそうですが、数学、特に新しい定理を自分で発見して開拓していくような人は個人の適性としか言いようがありません。
才能という言葉は思考停止的で使いたくありませんが、一般論で数学科向きというような話にはなりにくい。
高校の生物は事項の羅列が多く、逆に論理的に演算可能な構造が少ないので、以下の議論になじまない、というのが、値引きなしに言う本当の背景と思います。
さて、どうしてそういうことになるか?
この背後には、日本の教育制度が抱える大きな特徴と限界が存在しており、いい加減な風聞でとどまるものではないと考えることができます。