米国の「聖域都市」とは? トランプ大統領の移民取り締まりで注目

米ニューヨークのトランプタワー前でトランプ大統領の移民取り締まりに抗議する人たち(2016年12月18日撮影、資料写真)。(c)AFP/KENA BETANCUR〔AFPBB News

 米国の第45代大統領にドナルド・トランプ氏が就任してから1年2カ月以上が過ぎた。日本ではトランプ政権は長続きしないという予測が大勢を占めていたが、ワシントンでみるトランプ大統領は、内外の非難の嵐にさらされながらも、なお健在である。前回の記事「トランプは今なお健在、予測が外れた日本の識者たち」では、日本と米国におけるトランプ評の差異を説明した。

 日本のトランプ論と米国の実態との違いを説明するために、ワシントンで私が取材してきたトランプ政権の動きについて、もう少し詳しく伝えよう。

重要な公約を次々に履行

 トランプ氏の主要公約の1つに、オバマケア(医療保険改革案)の撤廃がある。日本ではこの公約の達成にトランプ大統領は失敗した、という見解が多い。だが、実際には決してそうとは言い切れない。

 オバマケアを公式に否定する代案は、確かに連邦議会下院で可決された。だが上院がまだである。また、オバマケアの核心部分はトランプ政権が通した税制改革法のなかで明確に破棄されている。その核心とは「すべてのアメリカ国民は最低限一つの医療保険に加盟する」という義務づけである。トランプ大統領の税制改革法は、この義務づけを廃止する条項を盛り込んでいた。だから「オバマケアの撤廃」という公約はすでにここで達成されたというわけだ。

 そのほかにも、目にはつきにくいが重要なトランプ公約の履行がある。

 たとえばオバマ政権時代は、予算管理法の規定で、財政赤字が一定の水準を超えると自動的に予算が削減された。その大部分は国防予算が対象だった。だがトランプ大統領は、公約の「力による平和」「軍事力の強化」政策の一環として、この削減メカニズム「セクイストレーション(予算執行強制停止)」を廃止した。そして国防予算を前年比10%近く増やすという大胆な措置をとったのである。