米国の第45代大統領にドナルド・トランプ氏が就任してから1年2カ月以上が過ぎた。ワシントンでみるトランプ大統領は、内外の非難の嵐にさらされながらも、なお健在である。選挙キャンペーンで表明した公約を着々と実行し、さらに多くを履行する構えをみせている。2年半後の2020年11月の大統領選挙に挑戦して、再選を目指す態勢も早くも固め始めた。
この現実は、日本の識者や米国通とされる多くの人たちが語ってきたトランプ論とは大きく異なっている。日本のトランプ論に従えば、トランプ政権はもうとっくにこの世から消滅しているはずだ。
私はこの14カ月間、トランプ大統領の実像虚像をワシントンと東京の両方で眺めてきた。そこで痛感したのは、両国におけるトランプ評の差異である。
日本側でのトランプ評には少なくとも3つの大きな特徴があった。
第1に、トランプ大統領は明日にでも辞めてしまうと予測されていた。
第2に、トランプ大統領は公約も含めて何も達成していないと評価されていた。
第3に、トランプ支持層の存在や動向に光を当てることがなかった。