映画『厉害了 我的国』の予告編より

 政治、経済、軍事とあらゆる方面で権力の集中を進める中国の習近平政権。芸術や文化の領域においても例外ではない。かつて数々の名作を生んだ中国映画に異変が起きている。

 春節明けの3月2日、中国で映画『厉害了 我的国』が封切られた。タイトルは日本語に訳すと『すごいぞ、我が国』である。中国人の友人によれば「習近平を褒めたたえる映画」だという。「そんな映画、誰が見るのだろう」と尋ねると、友人はこう答えた。

「国営企業の社員や学校の先生、生徒が、集団で見に行かされているんです」

「すごい中国」が“てんこ盛り”

『厉害了 我的国』は国営テレビ局の「中央電視台」と映画制作会社「中国電影股份有限会社」の合作映画だ。解説の冒頭にはこうある。

「十八大以来の中国の発展と成就、十九大の報告の中で習近平総書記が提起した『新時代の中国の特色ある社会主義』の一大論述を、記録映画の形で銀幕の上に現した」