米国の携帯電話サービス最大手のベライゾン・ワイヤレスが1月11日、米アップルのスマートフォン「アイフォーン4(iPhone 4)」を2月10日に発売すると発表した。アイフォーンはこれまで同国で携帯電話サービス第2位のAT&Tが独占していたが、ベライゾンの参入で1社販売体制が崩れた。
アップルに60億ドルの経済効果
実は前週からベライゾンがこの日に記者発表を行うことを明らかにしており、米国はここ数日この話で持ち切りだった。
アナリストらは、ベライゾンが2011年に500万~1300万台のアイフォーンを販売すると見ており、アップルにもたらされる新たな収益は59億ドルになるなどと予測している。これを受けて前日のアップルの株価は急騰し、史上最高値を更新した。
一方前日のAT&T株はダウ工業株30銘柄の中で最大の下げ幅となった。またベライゾン・ワイヤレスの親会社、ベライゾン・コミュニケーションズの株価も下落している。
米ブルームバーグによると、ベライゾンは1台当たり400ドル、総額約50億ドルの費用をかけてアイフォーンの購入を助成する見通しで、これが同社の利益を圧迫すると見られている。
AT&Tが昨年1年間で販売したアイフォーンの台数は1500万台だったが、アナリストらは2011年はこれが600万台程度に減ると見ている。英フィナンシャル・タイムズによると、今年AT&Tのアイフォーンを購入するはずだった顧客がベライゾンに流れるからだという。
またAT&Tのサービスに不満を持つ顧客はこれまでアイフォーンを敬遠していたが、ベライゾン版が登場したことでアイフォーンの購入が促されると予測している。
アップル、長年の悲願ようやく叶う
いずれにしても米国携帯電話サービス上位2社がアイフォーンを扱うことになり、今年の同端末の販売は大幅に伸びると予想されている。そしてこれはアップルにとって長年の悲願だったと米ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。