最近、「東京のタワーマンションは30年後にスラム化」などという物騒な記事が目につくようになった。2000年以降、東京では新築のタワーマンション(以下、タワマン)が湾岸エリアを中心に続々と供給され、活況を呈した。だがここに来て、東京五輪を前に売却を図る所有者から「売れずに困っている」という声も聞かれる。
筆者も先日、ある個人投資家からこんな話を聞いた。
「湾岸エリアのタワマンを購入した中国人やロシア人が五輪を前に売却しようとしているが、売るに売れない状況だという。調べてみたら、そのタワマンではかなりの物件が売りに出ていて、8000万円で取得した物件なら2割減の6400万円にしないと売れないらしい」
数年前から、日本の居住用不動産市場には中国人をはじめとする外国人が数多く参入している。しかし、以上の話が本当なら、外国人投資家らは「東京の不動産市場でババを引いてしまった」ということになる。
実際のところはどうなのだろうか。不動産専門のデータ会社、東京カンテイに尋ねてみると、次のようなコメントが返ってきた。
「タワマン市場はまったく動いていないわけではありません。けれども、価格を高く設定すると買い手が見つかりづらく、売却期間が長引く傾向にあります。新築、中古ともに価格が高くなりすぎているため、投資家を含めた購入検討者は様子見に転じています」
一時期、外国人の個人投資家がこぞってタワマンに触手を伸ばしたが、中古市場ではここに来て「手詰まり感」が出てきているという。