マット安川 2010年最後の放送となった今回は、同年中一番話題に上がった中国についてのエキスパート・宮崎正弘さんをお迎えしました。

 対近隣諸国との外交はもちろん、金融戦争や情報戦争といった近現代の特徴、江戸時代からの温故知新や2011年の展望まで、幅広い内容でお話しいただきました。

「尖閣」は眠っていた日本のナショナリズムを呼び覚ました

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:宮崎正弘/前田せいめい撮影宮崎 正弘(みやざき・まさひろ)氏(右)
評論家、作家。国際政治、経済の舞台裏を解析する論評やルポルタージュを執筆。中国ウォッチャーとしての著作の他、三島由紀夫を論じた著書もある。 (撮影・前田せいめい、以下同)

宮崎 尖閣問題以降の流れを見ていると、日本と中国の立場が昔と逆転しているのを感じます。

 1915年、日本は中国に21カ条要求を突きつけ、中国国民の怒りに火をつけました。今回は向こうが無理難題を押しつけてきて、日本人の怒りが爆発したというところでしょう。

 反中デモや集会には数千人も集まって日の丸が林立しますし、例の船長を釈放した日を国辱記念日と呼ぼうという動きすらあります。

 私が40年ほど前に学生運動をやっていた頃など、何かで抗議集会を開いてもせいぜい50人、100人しか集まりませんでした。これは世の中が変わったと見た方がいいと思いますよ。

 そんな中、日本の政治はどん底です。中国の海軍も空軍も目に見えて強化されているというのに、今度は防衛予算を減らすそうじゃないですか。

 横暴で理不尽なことをされても、ははーかしこまりましたとばかり土下座のしっぱなしです。今だに中国サマと奉っている官房長官がいたりします。この人への怒りもかなり膨れあがっているんじゃないですか。

 マスコミもどうかしています。中国の反日デモを新聞が1面トップで報道したりするでしょう。

 だいたい中国では反政府デモが年に12万件も起きているのに、昨年9月、10月に起きた反日デモなんてせいぜい20件ですよ。