日本の社会保障は曲がり角に来ています。医療や介護(長期ケア)に対する制度は世界的にも評価が高いのですが、いかんせん、お金が足りません。現在、日本の社会保障は国家予算の半分を占めているのです。しかも、これは増加傾向です。
こうなってしまったのは、社会保障の規模が設計当初と比べて大きくなってしまったことが原因です。人口構成の変化(高齢化社会)、経済成長の停滞や、家族や地域社会の構造変化などなど・・・当初設計されていた時から日本はだいぶ変わりました。
日本の社会保障制度は、若い世代への給付が少ないことでも知られていますが、これは企業の福利厚生が手厚かったり、家族基盤がしっかりしていた当時の状況を基に設計されているから。しかし、前述のように現在はそのようなことはなく、給付が少ないなか、現役世代は自分の手で老後を変えていく必要が出てきています。
資産づくりは、未来の自分への投資
何か困ったことがあったら、国や会社が守ってくれる——日本も、今やそんな時代ではなくなりました。今、大切なのは自分の力で自分を守り、生き抜くこと。そのためには、情報を集め、対処すること。
最近、お年寄りが貧困で亡くなるといったニュースなども見受けられますが、手厚い社会保障制度によって、日本で本当にお金がなくて餓死することは、実はあまりないのです。
例えば、困れば生活保護の相談もできますし、そこまでいかずとも、収入の減少や失業などで保険料を納めることが経済的に難しい時は、未納にせず保険料免除・納付猶予の手続きを行えばいいのです。それなのに、保険料をちゃんと支払わなければ・・・税金を支払わなければ・・・とマジメに支払っていると、肝心の生活費がなくなってしまいます。
こうした情報を知らない、調べる術がないゆえに貧困になるケースは多く、これは地域社会やコミュニティの崩壊から来る、情報格差の広がりが原因とも言われています。