日本人の平均寿命は、男性が80.98歳、女性が87.14歳(2016年)。日本が世界を代表する長寿大国であることは言うまでもない。
「最近は元気な高齢者が多い」ともよく言われる。しかし、実は日本人の健康寿命は短く、男性は最後の約9年間、女性は約13年間を、自立した生活の困難な「要介護者」として過ごしているのが現実だ。その数、約630万人で年々増加している。
日本社会は古来、「姥捨山伝説」に象徴されるように、生産活動に従事できなくなった高齢者を排除する傾向が強い。現代においても、いったん要介護者になったら、家族が強引に施設に入れたり、家族間で介護の押し付け合いをしたりするなど、“厄介者扱い”は常態化している。
高齢者本人は、人生のすべてをあきらめ肩身の狭い思いをしながら“消化試合”のような日々を送り、そして死んでいく。
しかし、そういうことで本当に良いのだろうか?
「13年とか9年といった長い晩年期をイキイキと過ごせるようにしてあげるべきではないのか?」
そんな義憤に駆られ立ちあがった男性がいる。「介護旅行」という、それまで世の中に存在しなかった事業分野を創出し1つの「業界」にまで育て上げた「SPI あ・える倶楽部」代表取締役・篠塚恭一氏(56)だ。