現在、中国と北朝鮮の国境周辺地帯に、中国人民解放軍が集結していると考えられている。もし米国のトランプ政権が北朝鮮に先制攻撃を仕掛けた場合、直ちに北朝鮮領内に進出し、北朝鮮から中国に逃げ込もうとする北朝鮮難民をコントロールし、混乱状態に陥っている北朝鮮の治安を維持するため、とみられる(本コラム2017年9月28日「中国の掌で対決しているアメリカと北朝鮮」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51161)。
このような中国の戦略に加えて、「より積極的に中国人民解放軍が北朝鮮国境を踏み越えるのではないか?」という別のシナリオまでもが、アメリカのシンクタンクの中国・東アジア研究者などの間で取り沙汰されるようになってきた。
中国が先制侵攻する理由
中国軍による先制侵攻の可能性を指摘する人々は、侵攻は次のような流れになるものと考えている。
「北朝鮮が弾道ミサイルに搭載する核弾頭の製造能力を獲得し、アメリカ西海岸には確実に届くと言われているICBMも手にすることになると、いよいよアメリカによる北朝鮮先制攻撃の可能性が強まる」
「アメリカによる先制攻撃が実施された場合、韓国や日本に対しても北朝鮮は核攻撃を加えるかもしれない──少なくとも何らかの“報復攻撃”を実施することはほぼ確実だ。そして、朝鮮半島は大混乱に陥り、隣国である中国にも大量の難民が流入してくることは避けられない。場合によっては隣接している中国領内も放射能汚染の被害を受けるかもしれない。いずれにせよ朝鮮半島で戦闘が勃発すれば、中国にも大混乱が波及することは必至である」