米国は言うまでもなく移民国家であり、中でもヒスパニックの人口増加が激しい印象がある。だが、今一番増加しているのはアジア系移民だ。2055年にはアジア系が移民人口で最大となる見込みである。つまり、米国はヒスパニック化の裏側で急速にアジア化が進んでいるのである。
今回は、米国国勢調査局、ピューリサーチセンター、そのほかの報道が示す急速なアジア系米国人の成長とその政治的な意味、さらには我が国にとっての課題について述べてみたい。
急増加するアジア系米国人
2000年から2015年にかけてアジア系米国人は、1190万人から2040万人へと72%もの増加率で急増加した。これは同時期におけるヒスパニックの60%という増加率を上回っている。中でも、ブータン、ネパール、ミャンマー系が2倍以上に増えた。一方、日系人とラオス系はアジア系の中で最も低い増加率であった。
全体の勢力バランスとしては、中国系(24%、490万人)、インド系(20%、400万人)、フィリピン系(19%、390万人)が三大勢力である。それに、100万人以上のベトナム系、韓国系、日系が続くという形になっている。
今後、現在の状況が継続すれば、2055年にアジア系はヒスパニックを超えて、移民人口の中で最大勢力になるとみられている(移民の中でアジア系が36%、ヒスパニックが34%、黒人が9%、白人が19%になるとされる)。