2017年上半期のウクライナの原発依存度(全発電量に占める原子力発電の割合)は58.4%を記録した。
これは、フランスに次ぐ世界2位の数字である。
ウクライナはソ連時代にチェルノブイリ原発事故を経験したにもかかわらず、独立後、原発依存度を一貫して上昇させており、ウクライナ危機後、その傾向に拍車がかかっている。
経済危機と原発依存
今日、ウクライナ国内には、2000年に操業停止したチェルノブイリ原発を除くと、4か所15基の原発が稼働しており、国営企業エネルゴアトム(Energoatom)社の傘下にある。
すべての原子炉はソ連時代に計画・着工されたものであり、うち3基がウクライナ独立後に完工・送電を開始している。ウクライナ政府にとって幸いなことに、被占領地域クリミアやウクライナ東部ドンバスに原発は立地していない。
ウクライナは1986年のチェルノブイリ原発事故によって甚大な被害を被ったにもかかわらず、危機を経るたびに原発への依存度を増すという皮肉な歴史を経験している。
まず独立後に、石油、天然ガスの輸入価格が国際化・高騰したため、火力発電の稼働率が低下、そのため発電コストに占める燃料費の割合が小さい原発の依存度が上昇した。