また、キャリア支援にあたって「どんな仕事をしたいですか?」という質問に対しての回答で多いのが、「世のため人のためになる仕事」だという。
まさに貢献欲求を満たしたいという思いから来る回答ではあるが、この点について小澤氏はこう話す。
「対価をもらって仕事をしている以上、すべての仕事は何らかの形で世のため人のためになっているんです。そういう方は今やっている仕事も何らかの形で世のため人のためになっているということを忘れている」
「そもそも自分の『やりがい』というものを考えていないからです。目の前の仕事をこなして評価される『やりがい』と、個人としての『働くやりがい』は必ずしも同じではありません」
「大事なのは自分がどういった仕事にやりがいを感じるのかを明確にすることです。それを自覚することなく別の仕事についても、また『世のため人のためになる仕事をしたい』と愚痴をこぼすことになります」
50代の低モチベーションに悩む経営者
50代の社員のモチベーションが低いと悩む経営者は多い。
その背景には、あと数年で定年退職、今後の昇進も昇給もないだろうし、だったらリスクを冒すことなく無難に定年退職を迎えよう、そして退職後は悠々自適の老後を送ろう、そういった心情がうかがえる。
ただ、悠々自適の老後を送るというのは上記の通り簡単なことではない。
一昔前は定年退職してから亡くなるまでの期間が短かった。しかし、年々平均寿命が伸びていったことにより、今の時代は定年退職してから数十年という期間を生きることになる。
その期間を精神的にも経済的にも充実した期間とするためには、定年退職前の時期から十分な準備が必要となる。その準備期間として50代という期間は極めて重要な期間である。
早い人は40代後半から戦略的に動き始めている。そういった期間をモチベーション低く過ごすことは、あまりにもったいないことではないかと思う。