社会人材学舎グループの小澤松彦氏は、40代・50代のサラリーマンを中心に定年退職後のセカンドキャリアの重要性を説き、求職者と面談し、キャリア教育と就職支援を行うと共に、就職後のフォローを行っている。

 小澤氏はセカンドキャリアとしての仕事を得て活躍できる人と、いつまで経っても仕事が得られない人との間には明確な違いがあるという。それは、「過去の成功体験を捨ててリスタートする覚悟」を持てるかどうかである。

 特に大手企業のサラリーマンはこの覚悟を持つことが難しいことから、小澤氏は意識改革に力を入れている。

中小企業なら何とかなるという誤解

 「自分の力を生かせるところない? 週3日勤務とかで。中小ならどこかあるでしょ」

 キャリア支援にあたって大手企業のサラリーマンからこういった声をよく聞くという。

 「大手企業にいた自分なら中小企業は好待遇で迎えてくれ、活躍できる場がある。こういった勘違いをしている人が結構多いんです」。小澤氏はこう話す。

 中小企業では大手ほど人手が足りていないので、営業、総務、経理、人事、広報、事務など1人で何役もこなすことが多い。そのため、大組織の中の一部分の仕事しかやってこなかった人、作業はすべて部下に任せて自分は手を動かしてこなかった人は、中小企業では戦力にならない。

 そして、中小企業では大手のようなブランドが一切使えない中で、ゼロから信用を得て、契約を取って来るようなたくましさ、打たれ強さが求められる。

 大手のブランドの庇護のもとに働いていた人が無名の企業の名刺を渡した時の相手の反応の変化に屈辱感を味わい、自分の本当の信用がどの程度のものだったのかを思い知らされる。

 それでもへこたれることなく、そこから信用を積み上げていくことが求められる。また、「元〇〇株式会社の部長」のような、元いた会社の肩書きは本人が考えているほど武器にはならない。

 表面的には「へぇ、それはすごいですね!」と好印象のようなリアクションを取ってもらえるかもしれないが、中小企業では肩書きより実力が問われるため、実力がないと判断されれば肩書きに関係なく相手にされなくなる。