また、そういった肩書きは中小企業の従業員からはむしろ煙たがられ、「上からものを言ってくるのではないか」という警戒心を抱かれるため、現場に溶け込む上での妨げにもなり得る。
何より、そういった肩書きを持っているというプライドが邪魔をして転職先の選り好みをし、選択肢を狭め、転職できたとしても無名の企業で働くことに対して様々なストレスを覚えるようになる。
一方で、大手から中小企業へ転職をし、採用した企業からも喜ばれている事例もある。
ある方は中小企業へと転職した際に、役職をつけてもらうのはフルタイムで工場に入って新入社員と一緒になって働いて、現場のことが分かってからでいいですと申し出て、平社員と同じ仕事から始めているという。
元大手という意識を捨て謙虚に
このように、セカンドキャリアを得て現場で活躍するためには、「元大手」という意識を捨てて謙虚になり、ゼロから何でもやりますという覚悟を持つことが重要であり、実際にこういった人は比較的にスムーズにセカンドキャリアとしての働き口を見つけているという。
また、短時間で自分の価値を表現することはセカンドキャリアを得るうえで当然求められることであるが、これができない大手のサラリーマンが多いという。
「〇〇会社の〇〇部で部長をやっていました」
こういった説明では具体的に何ができるのかが分からないし、採用した後、どういった仕事をやってもらうかのイメージもわかない。
部長をやっていたことが価値なのではなく、どういった結果を残してきたか、それを可能にした汎用性のある「力・スキル」が価値なのであって、その点を表現できる必要がある。
業績を上げる具体手法、製品やサービスに進歩をもたらす技術、組織を活性化する手法、人材を育成するスキルなどを簡潔に語れることが求められる。
どのような企業に就職したとしても具体的な形で成果をもたらすことができる力と実績を、初対面の人に対して短時間で伝えることができるように、日頃の仕事の取り組み方を見直すとともに、その内容を言葉にまとめておく必要がある。