セブン&アイグループはオンラインストアで購入した商品を全国のセブンイレブンで受け取ることができるサービスなど、店舗とオンラインストアの垣根を越えたサービスを強化している(資料写真)

 スマホでクチコミをチェックした商品を店頭で買う。店頭で実物を確認した商品をスマホで買う──。今や消費者は、リアルとデジタルの垣根を越えて自由に買い物を楽しむようになった。

 その裏側で、小売流通は、既存の実店舗に加えオンラインストアやスマホアプリなど多様な接点から消費者とコミュニケーションを深める「オムニチャネル」に投資してきた。

 しかし、投資に対して十分な効果を得ることは難しいというのが実状ではないだろうか。一方で、企業は「十分な効果が出ていなくても、競合に遅れをとらないよう、投資の手を緩めることはできない」状況にも直面している。以下では、そのようなジレンマを乗り越える活路として、オムニチャネルで培った“情報資産”を活用した新たなビジネスモデルを提言したい。

 現在の市場の状況と各社の取り組み状況、そこから導き出される新たなビジネスモデルを順に見て行こう。

【1】生活のあらゆるシーンから購買が生まれる時代

「あれ、洗剤が切れそう・・・」──洗濯機に貼り付けられたAmazonダッシュボタンを押し、5秒とかけずに注文を済ませる。

「こないだ買ったお気に入りのパスタソース、もう1つ買っといて」──会社へ出る前に、リビングに置かれたAmazonエコーに話しかけておけば、帰る頃には自宅に商品が届いている。