7月8日、米バージニア州シャーロッツビルで、ロバート・E・リー将軍像の撤去計画に抗議する白人至上主義団体「Ku Klux Klan(KKK)」などによるデモ行進があった。
南部連合旗を掲げる者、白い頭巾を被る者、そして、デモへの反対者も抗議行動、警察を挟み睨み合う事態ともなった。
南北戦争時、戦力、経済力で圧倒的劣勢に立つ南部連合で、一時攻勢にも転じた陸軍指揮官リー。しかし、自身は奴隷制支持者でもなく連邦離脱も望んでいなかった。
開戦直前、エイブラハム・リンカーンから連邦陸軍司令官への就任要請を受けながら、故郷バージニアが連邦を離脱したことから辞任した経緯があり、強い故郷愛を持った人格者として人気は高い(このあたりは前回コラムでも詳述)。
愛車の名前にもリー将軍の名が
南部ジョージア州の片田舎を舞台に、1979年から85年にかけ放映され人気を博したテレビドラマ「The Dukes of Hazzard」(日本では80年にワンシーズン『爆発!デューク』の邦題で放映)でも、主人公たちが乗り回す愛車の名前が「The General Lee」となるほどに、親しまれる存在なのである。
1863年.ジョージア州アトランタ。リー将軍のバージニアでの勝利が告げられ、盛り上がりを見せるチャリティ会場。
続けて、北軍の封鎖を強行突破、貴重な物資を届けたレット・バトラー船長が称えられる。南北戦争出征直前、思いを寄せるアシュレーが結婚したことに失望、自らも結婚に踏み切った夫が戦場で病死、未亡人となったばかりのスカーレットにレットは近づく。
勝敗の行方を大きく左右するゲティスバーグでの戦いでの戦傷者リストに見入る人々。劣勢続く南軍。負傷兵、避難民がジョージアへと多数流れ込む。北軍ウィリアム・シャーマン将軍の進撃は続く。そして、アトランタ炎上・・・。
「侵略者」たる北部人から、心血注ぎ込んだ地「タラ」を守らんと、力強く生きるヒロイン、スカーレット・オハラの物語『風と共に去りぬ』(1939)は、南北戦争開戦から戦後再建(reconstructionレコンストラクション)に至るまでの南部社会の変容が見て取れる大河ドラマ。
ジョージア出身の作家マーガレット・ミッチェルの「Old South」を懐かしむ奴隷制への視線が批判の対象となることも少なくないが、南北戦争を背景とした長編文学の代表作であることに間違いはない。
アラバマの農園主ペイトンは、いま、アウルクリーク橋で絞首刑に処されようとしている。
地域社会での立場上、その政治信条は南部人のそれそのもの。しかし、事情あって軍人とはならなかった。だから、いつか、南部のためになるなら何でもやってやろうと思っていた。そんなとき、北軍がアウルクリーク橋近くまで来ていることを知ったのだ・・・。
ペイトンは橋下の川に投げ出された。目を覚まし、銃撃を免れ、泳ぎ、走り、家族の待つ農園へと帰りつく・・・。
南北戦争を舞台とした「アウルクリーク橋の出来事」は、米文学史上最高の短編の一作との評価も高い。