もしアメリカ合衆国大統領トランプ氏が、反グローバリズム、孤立主義といった政策を推し進めれば、世界は分断され、経済危機に陥るでしょう。世界はこれまで多くの経済危機を乗り越えてきましたが、現在、予見されている危機の要因は「政治」です。今、世界でいくつもの大きな変革が起き、経済を不安定にする要因が生まれています。この連載では、世界と日本にどんなリスクがあるのかを大前氏が解説します。
(前回の記事:「分断された世界。『アメリカ・ファースト』はすでに達成されている」)
外交・内政とも多くの課題を抱える安倍政権のゆくえ
安倍政権は外交・内政ともに多くの課題を抱えています。
外交ではトランプ氏と日米関係をどう築くか、難しい舵取りを迫られています。
イギリスはEU離脱をめぐる混乱がしばらく続きますし、6月にはメイ首相が仕掛けた解散総選挙があります。
中国との緊張も高まっています。韓国では朴槿恵大統領の後任として文在寅(ムンジェイン)氏が新しい大統領に選ばれましたが、日本との慰安婦問題の合意は破棄すると言っており、韓国との関係再構築という難題が控えています。
内政について安倍首相は成長戦略を強調していますが、いよいよ打つ手がなくなり、カジノを含む統合型リゾート施設、IR(Integrated Resort)が成長戦略の中心という「素晴らしい」展開になっています。