仮に本音が飛び出したと考えれば・・・
先ほど骨格を抜き出しておいた、今村氏自身の発言の中で、問題になるのはB-Dの部分と思います。骨格だけに整理すると
B「マグニチュード9.0、津波9メートル、死者行方不明計1万8478人」
C「社会資本毀損 25兆円」
D「これがまだ東北で、あっちの方だったから良かった。けど、これが本当、首都圏に近かったりすると、莫大な、甚大な被害があった」
これは、何をどう間違えても
「東京でなくて良かった。もし東京・首都圏だったら、もっと大変だった(その代わりに東北が犠牲になった)」
以外の文意に読み取ることはできません。さすがにそれは官邸サイドもそう思ったのでしょう。普段なら「問題ない」で終わることの多い安倍内閣ですが、ここでは直ちに内閣総理大臣が駆けつけて陳謝する、首相公認の「不適切な発言」となったわけです。
元来が名誉回復のために派閥が準備しマスコミも詰めかけた「檜舞台」であったわけで、そこでアドリブでこういう発言をしたわけですから、この閣僚が平静から思っている、本音がこぼれでたもの、と思う方が自然ではないでしょうか。
事実、講演後の記者との一問一答でも「真意を」と問われた今村氏は
「東北でも25兆円も毀損するような災害だった。これがもっと首都圏に近い方だったら、とんでもない災害になっているだろうという意味で言った」
と答えています(毎日新聞報道による)が、実際にビデオで見てみると「東北ですら」「ましてや首都圏であったなら」を延々繰り返しており、この人が本心から「首都圏こそが大事」「国家こそが大事」「そこがやられていたら大変なことになる」「個別の地方/個々人は二の次」と信じ込んでいるのが、はっきり見て取れるように思いました。
犠牲についても「一万数千ナニガシ」といった具合で、この人物の言葉は、一人ひとりの命に関わる部分の調子が極めて軽い、まともに考えていない。
この「個人・地方の犠牲を前提に東京中心・国家中心で物事を考える発想」そのものが、復興大臣としては言うまでもなく、 今日の日本の政治家として、基本的な資質を疑わざるを得ないものではないか、と指摘せざるを得ません。