サンフランシスコの街並み。(筆者撮影)

前回、電力全面自由化された日本の電気選びについてご紹介しました。今回は、街全体で電気を選んでしまった、私の大好きな街、米国サンフランシスコの取組を紹介したいと思います。

 日本では、近年、自治体が出資などを行う「地域新電力」が出てきましたが、ドイツや米国では、古くから自治体が社会インフラである電気供給に強く関与するケースが多くあります。

自治体主導の電力選択

 サンフランシスコのあるカリフォルニア州では、州法により次の2つの方法で、市が電力販売に関与できるようになっています。

 まず1つ目の方法は、市が公共電力会社(Publicly-Owned Utility:POU)を運営し、発電、送電、配電を一括で行う方法です。カリフォルニア州では、サンフランシスコ市を含め多くの自治体が実施しています。

 2つ目は、コミュニティ・チョイス・アグリゲーション(Community Choice Aggregation:CCA)と呼ばれる手法で、市が家庭や事業者の電力需要を束ねた上で、電力供給事業者や電気の種類を選択するものです。自治体が市内電力需要家の電力契約を代行して代替となる電力供給事業者と交渉します。

 CCAにより、自治体主導で再生可能エネルギーの比率の高い電力などを、交渉力を持って購入することが可能となる仕組みです。電力供給事業者が切り替わったとしても、送電・配電などはこれまで通り地元の電力会社が行うのがCCAのポイントです。

 カリフォルニア州では、2000~2001年に発生した電力危機を受けて小売全面自由化が中断しており、家庭用電力は基本的に地元の電力会社からしか購入できません。そのため、市民への選択肢の提供などの観点からCCAが導入されています。