ここ数日、シリア情勢と並んで世界のメディアをにぎわせたのが、シカゴ空港で起こった事件だった。米ユナイテッド航空の国内便がシカゴ空港を飛び立つ直前に、機内で乗務員と乗客のトラブルが起こったのだ。
これを空港警察の警官が排除した光景を乗客がスマートフォンで撮影し、ネットで拡散したため、世界中でユナイテッドの対応を批判する大合唱が起こった。定員より多くの予約を取るオーバーブッキングは合法で、乗客が拒否したら排除することも連邦航空法で認められている。何がこの小さな出来事を世界的事件にしてしまったのだろうか?
乗客の排除は合法的である
まず簡単に経緯をおさらいしておこう。シカゴ発ケンタッキー州ルイビル行きのユナイテッド航空3411便の定員は70人だが、ユナイテッドは定員いっぱいの乗客を乗せたあと、さらに翌日の乗務員4人(パイロット2人と客室乗務員2人)を乗せようとした。彼らが搭乗できないと別便が飛べなくなるので、乗務員の搭乗は最優先である。
機内で「400ドルのクーポンと代替便の航空券と1泊のホテル代」で翌日の便に変更する乗客を募ったが、応じる乗客がいなかった。800ドルに上げても誰も応じなかったので、乗務員は無作為に4人を選んで同じ条件を提示したという。