首都圏の鉄道各社が相次いで通勤客向けの有料座席指定サービスを導入している。改善の兆しが見えない通勤ラッシュを緩和する手段として一部から注目されているが、鉄道会社側にはもっと切実な事情がある。人口減少の本格化という厳しい現実が目前に迫っており、各社は有料サービスの拡充によって収益低下に備えようとしているのだ。
足元では利用客の増加で通勤ラッシュが激化しているが、一方では人口減少の足音が近づく。相反する状況に直面する鉄道会社の現状は、今の日本を象徴しているといってよいだろう。
510円を払って座って快適に通勤
西武鉄道は3月のダイヤ改正から、指定料金を払えば座って通勤ができる「S-TRAIN(Sトレイン)」の運行をスタートさせた。平日の運転区間は、西武池袋線・東京メトロ有楽町線の所沢~豊洲で、座席指定料金は510円。朝は上り1本、夕方以降は上下3本ずつ運転している。
同社はこのダイヤ改正にあわせて、新型の通勤車両である40000系を導入している(下の写真)。同系は、各車両に両開きのドアを4つ設置した、いわゆる通勤電車型の車両だが、クロスシート(進行方向に向かって座席を配置)とロングシート(窓を背にして座席を配置)を切り替えて使うことができる。
(* 配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで本記事の図表をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49674)