ティラーソン米国務長官、安倍首相と会談

日本を訪問した際のティラーソン米国務長官〔AFPBB News

アメリカの軍事的関心は大西洋側

 トランプ政権は、ティラーソン国務長官とマティス国防長官を指名して連邦議会で承認されて以降、安全保障関係の高官人事が足踏みをしている。

 3週間ほどで辞任を余儀なくされたマイケル・フリン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の後任は、ハーバート・マクマスター陸軍中将に決定した。だが、マティス国防長官を直接補佐するペンタゴンの3長官職(海軍長官、陸軍長官、空軍長官)がいまだに連邦議会の承認を得ていない状態が続いている。

 とはいっても、安全保障環境はアメリカ軍部高官人事などとはお構いなしに厳しさを増している。先週もマティス国防長官、ティラーソン国務長官がNATO(北大西洋条約機構)諸国を訪問し、同盟関係の問題点に関する本格的な調整を開始した。

 両長官、それにマクマスター補佐官などの経歴からは当然の帰結であったが、アメリカの国防政策の関心は対IS戦が最優先である。これまでは、次にロシアのウクライナをはじめとする東ヨーロッパへの侵攻態勢強化に対する警戒、そしてイランの対米姿勢という順であった。

 ところがここに来て、金正恩政権によるICBM開発の動きがアメリカにとっても完全に警戒レベルに達した。そのため、イランよりも北朝鮮に対する警戒の優先度が繰り上がったことが、マティス長官のNATO諸国での言動で明らかにされた。