「個人的には3代世襲には反対しています」。金正日の長男の金正男は、中国・北京でのテレビ朝日のインタビュー(10月9日)にそう答えたという。(敬称略)
金正男の「3代世襲に反対」発言は中国の恫喝か
金正男がインタビューで自分を排除した父・金正日と「皇太子」の座を射止めた弟・正恩を挑発するかのように「個人的には3代世襲には反対」と言って憚らなかったのはなぜだろう。
本来なら抹殺(暗殺)される運命にある金正男の背後には中国がついている。
金正日の瀬戸際外交などで今や世界の「孤児」となった北朝鮮は、唯一の庇護者である中国が「生殺与奪の権」を握っている。
中国は意図的に金正男を通じ中国の本音を代弁させ、金正日・正恩父子を恫喝し「改革開放実行の約束の履行」を迫っているのではあるまいか。
中国は、金正男のインタビュー発言を通じ、正男を「スペアカード」として庇護する意志・立場を鮮明にしたのではないだろうか。
中国は金正男「傀儡政権」を準備か
金正男を温存し、彼を中心に「傀儡政権」を創り、「平時における内政干渉」と「有事における軍事介入」の「切り札・旗印」にしようとしている可能性がある。
そもそも、「金王朝」の「高祖」金日成(本名は金 成柱=キム・ソンジュ=)は、旧ソ連のスターリンが派遣した人物で、北朝鮮はスターリンの「傀儡政権」が樹立したものだ。
中国が金正男を中心に「中国版の傀儡政権」を準備しているとしても驚くには当たらない。
尖閣諸島になりふりかまわず進出しようとする中国の侵略性を見れば、隙あらば北朝鮮をチベット化しようとする魂胆さえ疑われる。
中国が金正恩世襲容認に転じた思惑
9月上旬に予定されていた代表者大会を9月30日に遷延せざるを得なかった最大の理由は、中朝間で世襲の容認(承認)と引き換えに改革開放政策の受け入れ・実行を確約することを巡り、綱引きをしていたからではないだろうか。
中国が3代にわたる世襲と、後継者として(金正男ではなく)金正恩を受け入れた背景・理由について考えてみたい。