(文:コーチ・エィ 粟津恭一郎)
企業の経営者の方から、しばしば「もっと社員のチャレンジ精神を高めたい」「社員が失敗を恐れずチャレンジする組織にしたい」という話をお聞きします。そのような組織は、どうやって手に入れるのでしょうか。
人は子どもから大人になるまでの間に、実にさまざまなことができるようになります。
ボールを投げる、字を書く、自転車に乗る、料理を作る、外国語を話すなど、何度も失敗し、チャレンジし続けることでしか、なかなか上達できないものも多くあります。何もできない赤ちゃんが、数年から十数年の間にこういったことがどんどんできるようになるのですから、失敗とチャレンジを繰り返すプロセスは人の成長に欠かせないものだと言えるでしょう。
チャレンジの背景にある考え方とは?
失敗してでもチャレンジし続けようとする気持ちには、「自分の能力は努力によって変化する」という考え方が背景にあります。このような考え方のことを「成長型マインドセット」(Growth Mindset)と呼びます。マインドセットとは「考え方」のことです。
小さな子どもはどんなものにでも興味を示し、失敗を恐れずに手を伸ばします。そして、失敗したり、分からないことがあったりすると、「どうして?」「あれは何?」「それは何をするものなの?」と次から次へと質問します。ある研究によると、2歳から5歳までの3年間だけで、子どもは周囲に4万回の質問をするのだそうです(※1)。
私たちは誰でも「成長型マインドセット」を持って生まれてきた、と言っても過言ではないでしょう。
「成長型マインドセット」の対局にあるのは「固定型マインドセット」(Fixed Mindset)です。「固定型マインドセット」とは「自分の能力はこれ以上変化しない」という考え方のことを言います。