しかし現在、「経団連会長」の政治的・社会的影響力は大きく低下している。会長の一挙手一投足がメディアの関心を集めることはなくなった。人材不足から最近では後任人事も難航するようになった。
経団連が設立されたのは1946年。もともと経団連は、戦前の財閥による経済界支配に対するアンチテーゼのような存在だった。金融資本による経済支配を突き崩し、製造業が中心となって日本を立て直すことを目指した。確かに戦後の復興と経済成長は輸出型の製造業に牽引された。だが現在、輸出産業のGDPへの貢献度はわずか1割ほどしかない。日本のGDPの74%は流通サービス産業で稼ぎ出しており、従業者で言えば70%を占めるまでになっている。経団連はその歴史的な役割を終えているということなのかもしれない。
経団連に2人の会長を送り出し、日本の製造業の中核として揺るぎない地位を誇った東芝が債務超過に陥り、深刻な経営難にあえいでいる。もちろん杜撰な経営に起因しているわけだが、経団連の時代の終焉を示す出来事としていかにも象徴的である。
政治家たちが駆けつけた生団連のパーティー
片や、ますます意気軒昂なのがサービス産業の経済団体だ。
1月27日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニに名だたる政治家たちが続々と参集した。自民党からは二階俊博幹事長と細田博之総務会長、公明党からは井上義久幹事長、民進党からは蓮舫代表。少し遅れて菅義偉官房長官も駆けつけてきた。
彼らが向かったのは「生団連」(国民生活産業・消費者団体連合会)が開いた「平成28年度臨時総会・新年賀詞交歓会」のパーティー会場である。主催者によると自公民で23名の国会議員が出席していたという。