昨年、鳩山由紀夫首相が「無血の平成維新に取り組む」という所信表明をしてから、1年が経った。

 「明治維新」になぞらえたその言葉、そして「龍馬伝」が巻き起こした龍馬ブームも、国民の維新への期待の高さを表していたように思える。

今や誰も口にしなくなった平成維新

 だがその期待も薄れて、今や平成維新なんて言葉を誰も口にしなくなった。

著者の小田 明志氏が創刊した雑誌『リキテン』創刊号のテーマは「政治」だ
(撮影・前田せいめい)

 政治とカネ問題のリバイバルをはじめとした数々のスキャンダルが、維新への期待で麻痺状態にあった国民を現実に引き戻した。私は自称龍馬が中年のデブという時点で現実に引き戻されていたけれど。(小泉進次郎のルックスなら許せた)

 維新へのビジョンを失ったのは国民だけではない。菅直人政権は維新などどこふく風で、自民党時代のような古い政治へ逆戻りを始めた。このままでは日本という国が立ち行かなくなるという非常事態に、場当たり政策を「有言実行」しているようでは、なにも始まらない。

 しかし、平成維新を選択し変化を求めたのも、それを拒否し、ねじれ国会をつくったのも、有権者のあなた方である。衆院選ではあれだけ民主党を支持し、持ち上げ、圧倒的な差をつけさせたのにもかかわらず、 参院選では辛抱強さを欠いてねじれ国会を選択した。

 あなた方の選択は、どんな政治家よりも「ぶれて」いる。生んだ子供はしっかり認知し、辛抱しながら育てるのが大人の責任ではないのだろうか。

 「自分が国のためになにかできるか」よりも「国が自分に何をしてくれるのか」を考える典型的日本人のメンタリティーがそこにある。