東南アジアの大財閥が、京都の一等地に史上最高額「1泊120万円」(市内)で超高級ホテルを昨年末開業、さらに今年は、紅葉名所に世界最高ブランドリゾートがオープンする。
なかなか外資が入り込めなかった、世界で最も厳しい景観規制条例を持つ「世界ブランド・京都」が、「京の町が活気づくなら、おこしやす」と、変貌する。
これまで禁止されていた住居専用地域(工業地帯、市街化調整区域含)で、京都市は特例として「超高級ホテル限定」で開業許可を認める方向性を示し、「京の宿」誘致規制緩和の歴史的転換を図る。
ほんの数年前まで、京都の5つ星ホテルは、「特例中の特例」で開業した「ハイアットリージェンシー京都」のみだったが、ついに、1200年の古都・京都で超高級ホテル「外資開国時代」の本格的到来となりそうだ。
京都市が方針大転換、大型宿泊施設を誘致
一方、京都では、米国発世界最大手の民泊サイト、Airbnb(エアビー・アンド・ビー、略称:エアビー)というもう1つの外資も市場拡大を図っており、「外資二極化の熾烈な争奪戦」に火花が散りそうだ。
昨年末公表された京都市の方針転換には、住居専用地域以外のほか、京都駅周辺の高さ制限緩和による大型宿泊施設誘致も盛り込まれた。
近年、ホテル事業参入に意欲を見せる、宝石や時計などで知られるイタリア老舗高級ブランド「ブルガリ」は早くも、「国際都市・京都で最高の眺望や庭を満喫できる高級感あふれる空間を提供したい」とラブコールを送るほか、世界ブランドのシャングリラやヒルトンなども参入を虎視眈々、狙っている。
今回の「京都市宿泊施設拡充・誘致方針」は、近年の円安基調や東南アジア観光客へのビザ緩和で外国人観光客が急増し、2020年東京五輪に向け「現在、6000室不足」(京都市)という宿泊施設問題の解消を図ることが大前提としている。
一方、その中ですべての施設内で、「伝統的かつ超近代的な京都発の伝統産業製品や素材を採用することを条件に」、超高級ホテルの建設特例許可を与えることにした。
つまり、それは東京五輪を追い風に、西陣の絹織物、清水の陶器、京扇子、京和菓子など「 江戸時代、京都は日本一の工業都市だった」(京都市)という「世界ブランド・京都」を内外に向け誇示するもの。
「世界的に著名なホテルが少ないのが京都の弱点だったが、世界が憧れる観光都市を目指す」(門川大作京都市長)と、五輪や観光客数などでは東京に屈するが、成長性の高い観光先進都市・京都として「日本一京都」の復活推進を狙っているわけだ。
日本で最多の「世界遺産」を抱える京都は、新幹線から見える京都のランドマーク、「日本一高い木造建築」の国宝・東寺五重塔、「世界一高い無鉄骨塔」の京都タワー、「日本で最初の電車」の市電、「日本最長のホーム(全長約560メートル)」の京都駅の0番線ホームなどなど、全国で最も「日本一」を世に送り出してきた都市なのだ。
最近では、全国に先駆けて創業300年の老舗京懐石「美濃吉」がハラル料理(ムスリム人対応)をメニューに投入するなどで注目されたが、「伝統の中にも、最先端が息づく」のが京都だ。