アニメファンによる「聖地巡礼」が大きな経済効果
近年、熱心なアニメファンによる「聖地巡礼」が盛んに行われるようになった。「聖地」とはアニメ作品の舞台になった場所や、何らかの関係がある場所のこと。ファンが来訪することで経済効果が発生し、町おこしになっているケースも多い。
埼玉県鷲宮町の鷲宮神社もそんな聖地の1つ。それまで30万人だった初詣客が、2009年突然42万人に急増した。何気ない日常を描いて人気を集めた学園アニメ「らき☆すた」のなかに、鷲宮神社がモデルになった鷹宮神社が登場したためだ。ファンの来訪は翌年以降も続き、アニメ放送後3年間で22億円の経済効果があったという。
2011年に放送された「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」の舞台となった埼玉県秩父市も同様だ。放送後、作中で印象的に取り上げられた同市の祭り、龍勢祭に11万人が訪れたという。前年は7万5000人だったというから3万5000人増えた計算になる。そのすべてが同作のファンとは限らないが、影響があったことは確かだろう。
茨城県大洗町は「ガールズ&パンツァー」のファンでにぎわっている。この作品は女子高生が戦車に乗って戦うという奇想天外な物語。ただし、深刻な内容ではなく、花道や茶道のように戦車を使った武道「戦車道」が大和撫子のたしなみとされている世界が舞台で、いわば部活動のようなものとして描かれている。その主人公達が暮らすのが大洗だ。作中にも町の風景がそのまま登場して、時には戦車が走り回るシーンもある。
そもそもなぜ大洗が舞台となったかは、プロデューサーが茨城県牛久市在住でよく大洗を訪れていたからとか。
「ガールズ&パンツァー」は、昨年の秋、劇場版が公開されたということもあって、町も力を入れている。大洗駅を通る鹿島臨海鉄道ではキャラクターを車内外にあしらったラッピング電車を運行、作品に登場した店では、それぞれ「ガールズ&パンツァー」にちなんだ商品を開発、県の公式観光情報サイトや大洗観光協会のサイトでも同作の特設ページを作っている。