フランスの秋は文学賞の季節でもある。一節によれば、フランス国内には2000の文学賞が存在するというが、その頂点に立つのが「ゴンクール賞」。11月の上旬に発表されるのが恒例になっている。
ゴンクール賞はついにミッシェル・ウールベック氏の手に
今年の受賞者は、Michel Houllebecq(ミシェル・ウールべック)氏で、彼がぎゅう詰めの報道陣に囲まれて、「心から嬉しい」と笑顔を見せた映像は、昼の、そして夜のトップニュースとして流れた。
1998年に、既に最有力候補と目されていたのが賞を逃がし、その後も再び選考に上ったのだが、しばしばきわどい発言などで風聞が目立ったのが災いしてか、やはり届かずで、いわばこれが3度目の正直。
既に人気作家として取り上げられてきた名声に、ゴンクール賞がようやく追いついた、といったような論調が目立ったようだった。
ともあれ、筆者には彼の文学を語るに十分な知識がないゆえ、そのあたりのことは置くとして、一連の報道の中で「おや?」と思ったのが、フランス最高の文学賞の金額である。
ちなみに、日本の芥川賞、直木賞はそれぞれ100万円だそうだが、こちらはなんと10ユーロ。つまり1000円ちょっと、なのである。それでも、件のウールべック氏は安堵さえにじませたような至福の笑顔。
フランス最大の文学賞の賞金はわずか1000円
つまり、この賞の価値というのは、賞金額は全く関係なく、と言うよりも1000円程度の方が逆に潔いくらいのもので、ひとえに作家としての名誉の頂点というに尽きる文学賞なのである。
ところで、額は全く関係ない、とは言ったものの、今年の発売時点から既に13万部を売り上げているというこの受賞作、今後は少なくともその3倍を記録することは間違いないというのが通り相場だそうで、賞金はゼロに等しくとも、それがもたらす効果はまた数字の上でも偉大だということにはなる。
さて、フランスでの作家の収入はいかなるものであるか?
それについては、今年の9月7日付「ル・モンド」紙に大変興味深い記事が載っていたので、ここにその骨子をご紹介したいと思う。