見た目は普通のギター。でもボディには、ある秘密が。

 若いころ少しかじったギターに、もう一度トライしたい──。こんなことを思い立ったとき、まず必要なのは、楽器を手に入れることだ。

 お気に入りのミュージシャンが使うモデルや、昔は高嶺の花だった海外ブランドに目を向けるのもいいが、ここではもう1つ、ぜひ検討してみたいギターを紹介しよう。11月にヤマハが発売した「トランスアコースティックギター LL-TA」だ。

 このギター、見た目は普通のアコースティックギター(アコギ)だが、内部に驚きの仕掛けがある。アンプやスピーカーなしで、本体からエフェクトをかけた音が出るのだ。

 むろん、中にスピーカーを仕込んでいるのではない。秘密は、ヤマハが独自に開発した「アクチュエーター」という装置。これはギターのボディに振動を加えて音を出す装置で、エフェクト音はこの装置を通じて、ギター本体からの響きとして鳴らされる。

 ・・・と、まどろっこしい説明をするより、実際に見てもらう方が早いだろう。筆者がこのギターを初めて鳴らした時の動画があるので、まずはご覧いただきたい。おじさんが嬉々としてコードをかき鳴らすだけの映像ではあるが、高揚した感じは伝わると思う。

動画1 筆者(北村)がヤマハLL-TAを初めて弾いた時のようす。弾くうちに、ぐんぐんニヤついていくのがちょっと笑える。(画像をクリックして再生)

ボディの振動にもエフェクトがかかっている

 ギターの音の波形を電気的に処理し、音色や音質を変えることを「エフェクト処理」という。もともとはエレキギターの専売特許だったが、いまやアコギでも当たり前のように行われる。楽器屋に行けば、アコギ用のエフェクト装置(エフェクター)がずらりと並んでいる。