みなさんは宝塚を見たことがあるだろか。

 男性で見に行ったことがあるという人は、少ないに違いない。ましてや「ファンです」と胸を張って言う人は、まずいないのではないか。確かに、男性にとって宝塚が敷居の高い世界であることは間違いない。

 しかし、宝塚を女性だけのものにしておくのはもったいない。男性のみなさんにも、偏見と先入観を排して一度見に行ってみることをお勧めしたい。厳しい修練の賜物である、完成された歌と踊りと芝居。そして贅沢な舞台装置。あらゆる要素を詰め込んだ、極めてレベルの高い総合エンタテインメントの世界に驚くはずだ。

 正式名称は「宝塚歌劇団」。阪急電鉄の創業者、小林一三(こばやし・いちぞう)氏(1873~1957年)によって創設され、1914年に初公演を行った。以来、100年近くもファンを魅了し続けてきた。

 宝塚は、日本が世界に誇る超一級のエンタテインメントである。そこでJBpressは、作家の岩崎夏海さんと元タカラジェンヌの花影アリスさんに対談をしていただいた。

 岩崎さんは言わずと知れた大ベストセラー『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』の作者である。JBpressのインタビュー記事でも触れたように、岩崎さんは元々エンタテインメント畑の出身だ。エンタテインメントの本質を解き明かしたいと考える岩崎さんにとって、宝塚は避けては通れない世界なのである。

 一方の花影さんは2010年8月に宝塚を退団したばかりの元タカラジェンヌ。宙組(そらぐみ)に在籍し、絶大な人気を誇った娘役だ。今後は芸能界での活躍が大いに期待されている。

 エンタテインメント論、組織論、役者論──、人の心を捉えるという仕事に全身全霊を懸ける2人のディープな対談の様子を、2回に分けてお伝えする。(JBpress)

「宝塚は『遠いところ』でした」

岩崎 この夏に、花影さんが出演された東京宝塚劇場での宙組公演「『TRAFALGAR(トラファルガー)』―ネルソン、その愛と奇跡―」を見たのが、生まれて初めての宝塚鑑賞だったんです。

 宝塚は面白いだろうなとは思っていたんですが、想像どおり面白かったですね。本当に素晴らしかった。