いつの頃からか10月になるとコンビニエンスストアなどで橙色のカボチャのお化け、ジャック・オ・ランタンを見かけるようになりました。
ハロウィンの仮装や、子供にお菓子を配る習俗を秋の商戦に組み込もうという、どこかの広告代理店あたりが考えたのか、新しいブームと思いますが、果たして日本に根づくのか、根づかないのか?
バレンタインやホワイトデーは人間の煩悩の本質に直結して市民権を得たと思います。ハロウィンもそうした下心と結びつくと、商いが安定するのかもしれません。
しかし、旧来の日本でこの時期、子供向けと言えば、どう考えてもハロウィンではなく「七五三」だったはずです。
このハロウィンと七五三、いくつかの点で面白い共通点と異同があるように思うのです。
「犬将軍」と七五三
突然、私事で恐縮ですが、私が生まれたのは東京都中野区というところで、中野駅前はいま大規模な再開発を進めようとしています。
駅前には、今見ても決して古びた感じのない総合施設ビル「中野サンプラザ」が建っています。これがそろそろ耐用年限なのだそうです。
調べてみると中野サンプラザは1973年6月1日開業、2016年時点で御年43歳の中年で、約50年と言われるRC工法の寿命は残り数年。隣接する中野区役所との一体化再開発を念頭に2018年以降に解体、実際には2020~2024年にかけて工事が行われる見通しらしい。
さて、この「中野サンプラザ」や中野区役所があった一帯、東京ドーム20個分とも言われるエリアが、徳川五代将軍綱吉の時代に設置された「犬屋敷」の跡地であるというのは、我々地元民をはじめ知る人にはよく知られた事実です。
ここはまた戦前、悪名高い「陸軍中野学校」が置かれた場所でもあり、歴史的に微妙なスポットにもなっていますが、今回は「犬公方」綱吉の「生類憐みの令」にスポットを絞ります。
1687(貞享4)年、徳川綱吉は「生類憐みの令」を発布し始めます。歴史に名高いこの悪法は、都合24年間に前後合わせて135回も発布された政令の総称で、犬のみならず、猫、鳥、魚介類に至るまで、殺生はいけない、命あるものを大切にせよ、として過大な「公共事業」を行ったものでした。
犬に特化して言われるのは、綱吉が正保3(1646)年戌年生まれだったから、とのこと。なぜこのような特異な法令が出たかに関しては、複数の理由が指摘されており、そのいずれも一定の影響があるのでしょうが、最大の要素として「将軍の跡継ぎ」問題が考えられています。