横須賀中央の町並み(2010年2月撮影)。

 中心市街地のにぎわいの低下や建物自体の老朽化など、地方都市の抱える課題が顕在化してきている。さらに近年では、首都圏に近い都市でも同様の問題に直面している。

 その解決策の1つが「都市の再開発」であるが、行政主導では住民から反発を招き思うように進まず、一方で住民が主体で行うには、事業を主導するだけの知識や技能を持っていない。自治体は、矛盾する課題を突きつけられている。

 そんな中、神奈川県横須賀市では「大滝町2丁目の再開発」を成功させた。しかも「住民主体」で進めたというのが、大きなポイントだ。

 なぜ住民主体で成し遂げることができたのだろうか。行政学や地方自治論を専門とする國學院大學法学部の稲垣浩准教授の話をもとに紹介しよう。横須賀市の取り組みからは新しい「地域自治」のシステムが見えてくるという。

國學院大學法学部の稲垣浩准教授。東京都立大学大学院社会科学研究科政治学専攻博士課程単位修得退学。北海学園大学法学部講師を経て現職。博士(政治学)。主著に『戦後地方自治と組織編成--「不確実」な制度と地方の「自己制約」』(吉田書店)など。

魅力的な再開発は、住民主体であることが条件

──まずは横須賀市にある大滝町2丁目の再開発について概要を教えてください。