しかし、パソコンの普及に伴いプリンターが広く使われるようになったのと同様に、食品の印刷にも家庭でもおなじみのインクジェットプリンターが利用されるようになっている。インクジェットプリンターとは、液体のインクをノズルから噴出させて印刷する装置。ノズルの穴を微細にすることで鮮明に印字することができ、多色化も容易だ。食品用のフードプリンターでは、食用色素をインクとして用いる。
従来の製版を使った印刷と違って、パソコンで自由にデザインでき、小ロットでも手軽に印刷できるのが特徴だ。また、インクジェット式では、表面に凹凸があっても印刷できるので、印刷できる食品の種類が広がった。印刷機が食品に直接触れることもないので衛生的でもある。
可食性のインクやフィルムを使用
鮮やかな色のイラストや写真がプリントされた菓子も、インクジェットプリンターで印刷されたと聞けば納得する人も多いことだろう。
操作は通常のプリンターと同様でやさしい。パソコンでさまざまな文字やイラスト、写真をレイアウトすれば、あとは食品に印刷するだけだ。
その方法には、食品に直接食用色素を吹きかけて印刷する「ダイレクト印刷」の他、デンプンやセルロースを主原料にした可食性シートやフィルムに印刷し、食品に貼り付けるものがある。4色や7色のインクを搭載したモデルなどがあり、鮮明な印刷を可能にするために、各メーカーは装置のみならずインクの改良も重ねている。
生クリームの上に写真などの図柄がプリントされたケーキがあった。これが食べられるのかと驚かされる。デンプンでできた可食性フィルムに印刷した写真を、ケーキに貼り付けるのだという。
また、チョコレートに直接印刷できるプリンターを使えば、下の写真のように、図柄を板チョコレートに印刷し、ケーキにデコレーションすることもできる。アイデア次第で、食品をあっと驚くデザインに生まれ変わらせることができるのだ。

展示会でも関心を集める
7月31日から8月2日まで東京ビッグサイトで開催された製菓・製パンの展示会「パティスリー&ブーランジェリージャパン」では、フードプリンターが数社から出展され、来場者の関心を集めていた。